ケナンは最後に「これまでの分析を踏まえて、アメリカは具体的にどう行動すべきか」を非常に明確に示しています。要点は以下の10項目です。
ロング・テレグラム 第5パート アメリカはどう対応すべきかの要約
ロング・テレグラム 第4パート 非公式レベル=裏の工作活動の要約
ロング・テレグラム 第3パート 公式レベルでのソ連政策への反映の要約
ロング・テレグラム 第2パート その世界観の背景・土台の要約
ロング・テレグラム 第1パート 戦後ソ連の国際観の基本的な特徴の要約
- ソ連は変わらないと認識する
スターリン体制が続く限り、ソ連の本質(敵視・拡大主義)は変わらない。甘い幻想は捨てよ。 - だから「封じ込め(containment)」が基本戦略
軍事力で直接叩くのではなく、ソ連が新たな領土・勢力圏を拡大しようとするあらゆる場所で、粘り強く、しかし断固として阻止する。 - 力のバランスを維持する
アメリカと西側全体が経済的・軍事的に強く、団結していれば、ソ連は冒険的な侵略を控える。 - 西側社会の「内部の健康」が決定的に重要
ソ連の最大の武器は西側の分裂・不信・経済混乱。アメリカ自身の民主主義・経済・国民の士気を強く保つことが最強の防波堤。 - ソ連のプロパガンダに負けない
ソ連は常に「アメリカ=戦争屋」「資本主義=悪」と宣伝する。それに惑わされないよう、事実に基づく情報発信と教育を徹底せよ。 - 共産主義の魅力そのものを削ぐ
自由世界が豊かで公正で希望に満ちていれば、誰も共産主義に魅力を感じなくなる。モデルを示すことが最大の攻撃。 - 忍耐強く、長期戦を覚悟する
ソ連の崩壊か変質までは何十年かかるかわからない。焦らず、疲れず、一貫した政策を続ける。 - 交渉はしても幻想は持たない
必要に応じて話し合いはするが、ソ連が本気で妥協するとは思わない。常に最悪を想定。 - ソ連の弱点(国内の非効率・国民の不満)を忘れるな
ソ連は外見ほど強くない。長期の圧力に耐えられない可能性が高い。 - 最終目標は「ソ連の崩壊」ではなく「ソ連の行動変化」
ケナンは「体制転覆」を目指すとは言わず、「ソ連が拡大主義を放棄し、平和的に振る舞うようになる」ことを現実的なゴールとした。
ケナンの有名な締めの言葉(要約):
「ソ連の圧力は強大だが、我々が冷静で団結し、自由世界の活力を保ち続ければ、歴史は最終的に我々に味方する。」これがロング・テレグラムの最後であり、冷戦期のアメリカの基本戦略「封じ込め政策(Containment Policy)」の原点となった部分です。